こんにちは! サトモトです。
先日、ひょんなことからお誘いいただいて、徳島県上勝町の株式会社いろどり「葉っぱビジネス」の現場を視察させていただきました。
この「葉っぱビジネス」、あまりにも有名ですが、名前しか知らないという人がいればぜひ読んでいただきたい。実際にこの目で見ることができて本当によかった。
<目次>
・そもそも葉っぱビジネスとは?
・成功要因5つ
・(株)いろどりの横石社長の情熱
・人口増への課題

知らない人はいないと思うけど、「葉っぱビジネス」とは?

徳島県勝浦郡上勝町の人口は1692人。51%の高齢化率。
— サトモトヒロノリ (@Hyakujuoh) 2016, 2月 9
330種類の葉っぱを扱い、売り上げが2億円を超える。
800の農家のうち400が関わっている。#葉っぱビジネス #株式会社いろどり #龍馬プロジェクト
葉っぱビジネスのきっかけ。
— サトモトヒロノリ (@Hyakujuoh) 2016, 2月 9
上勝町はみかんづくりがさかんだった。しかし昭和56年、マイナス13℃という大寒波。町中のみかんの木が枯死してしまった。あきらめの気持ちが蔓延していた。#葉っぱビジネス #株式会社いろどり #龍馬プロジェクト
徳島県勝浦郡上勝町。ここは現在人口約1600人の四国で一番小さな村。もともとはみかんづくりが盛んな街でしたが、昭和56年に大寒波に襲われ、大打撃。
町中に諦めムードが漂う中、当時の農協の職員の横石知二さん(現 株式会社いろどり代表取締役社長)が考案したのが「葉っぱビジネス」。
これは、もみじ、柿、椿の葉っぱなどを料理の ”つま物” として商品化する事業。横石社長が、ある料亭で女性がその葉っぱを丁寧に包んで持ち帰ったところを目撃し、ひらめいた事業なんです。
昭和61年に4軒の農家から試験的にスタート。現在は年商が2億円を超え、地方創生成功事例としては最も有名になっているのです。
っとここまでは、誰もが知っていること。
今回は株式会社いろどりの社員の方に直接プレゼンしてもらったので、その成功のひけつをご紹介。
成功要因1:生産者、いろどり、JA、市場の関係性

いろどりは農家に情報を送るのが専門。農家さんの売り上げの5%をいろどりへ。農家さんたちはいろどりのことを情報センターと呼んでいる。発注などのやりとりはJAが行っている。#葉っぱビジネス #株式会社いろどり #龍馬プロジェクト
— サトモトヒロノリ (@Hyakujuoh) 2016, 2月 9
成功した要因として大事なのが、生産者・いろどり・JA・市場の関係性。それぞれがネットワークを結び、受発注情報や全国の市況状況を共有しているんです。
しかもその情報共有が実にスピーディー。農協に集まったデータをいろどりが分析し、生産者へ伝える。生産者はPCやタブレットを逐一チェックしながら翌日の出荷品目や数量を調整。
説明の中で動画を見ましたが、生産者さんたちの「タイミングを見る目」はデイトレーダーのようでしたね(笑)。
成功要因2:「葉っぱ」であることで扱いやすく、輸送にも有利

葉っぱは軽いから高齢者も扱いやすい。輸送にも有利。#葉っぱビジネス #株式会社いろどり #龍馬プロジェクト
— サトモトヒロノリ (@Hyakujuoh) 2016, 2月 9
扱っている商材が「葉っぱ」であることの重要。高齢者でも運搬がしやすく、輸送に有利だったことも成功要因のひとつと言えます。山道を歩く際の怪我の予防にもなるので、継続しやすいんです。
成功要因3:上勝町ならではの地形を活かす
多品種、少量生産が大切。→ 隙間産業なので、むやみに大量生産しない。
— サトモトヒロノリ (@Hyakujuoh) 2016, 2月 9
また平野部であれば同じ時期に大量生産することになるため、中山間地の方が有利。#葉っぱビジネス #株式会社いろどり #龍馬プロジェクト
隙間産業である葉っぱビジネス。むやみに大量生産してしまうことは逆に打撃となってしまう。
もし上勝町がだだっぴろい平野部であれば、その平野部の気候は一定。つまり葉っぱの収穫時期がカブってしまうんですね。
しかし上勝町のような中山間地域であれば、標高によって気候は変わる。その地形が多品目少量生産を生むわけです。
成功要因4:葉っぱのAmazon化現象
「つまもの」と呼ばれる小さな葉。上勝町のシェアは8割。
— サトモトヒロノリ (@Hyakujuoh) 2016, 2月 9
今年で18年目になる人もいる。
元農協の職員、横石さんが考案。#葉っぱビジネス #株式会社いろどり #龍馬プロジェクト
そもそも市場自体があまり大きくないこの事業。競合する地域が現れてもおかしくないが、新規参入すれば、それは共倒れの危険性が伴う。
上勝町ではすでに8割のシェアを占め、「上勝に無かったら無い」と言われるほど。これが葉っぱのAmazon化現象ということだ。
成功要因5:生産者を刺激し、楽しませる!

農家さんの順位付けもしている。一生懸命に頑張れば、売り上げが伸びる。この地域の農家さんは負けん気が強い人が多い。まとまりがない地域だからこそ、競争させる。#葉っぱビジネス #株式会社いろどり #龍馬プロジェクト
— サトモトヒロノリ (@Hyakujuoh) 2016, 2月 9
タブレット導入。畑でもどこでも注文が取れる。Youtube聞きながら作業する人も出てきた。#葉っぱビジネス #株式会社いろどり #龍馬プロジェクト
— サトモトヒロノリ (@Hyakujuoh) 2016, 2月 9
これ、すっごく大事ですよね。システムの方にばかり目が行くと忘れがちになりそう。
地域の気質や風土を理解して、生産者さんのモチベーションをキープしていくというのはやはり大事。いや、単純に収穫現場でタブレット使用したり、Youtube聞きながら楽しく作業するって革命ですね。

キーボードやマウスなど生産者にとって馴染みの無いツールを、使いやすく工夫したことも大きいなと思いました。慣れてくれば逆に楽しめる工夫だなと。

補足:横石社長の情熱
発案から実現までを手掛けた横石社長。今回はお会いできませんでしたが、チャンスがあればお話聞きてみたい。
「やっぱりツボを知るっていうことが、凄くうまくいったんですね。『おばあちゃん、すごいね!』って言ってくれることは、人にとって原動力になる。」
「自分がやってて褒められることってすごい好きなんですよね。地域の中でも家族の中でも、みんなが認めれくれるってすごく大事なこと。」
「やる気を育てていく。能力の差なんてそんなにないんですよ。できたやろ!っていう流れを作っていくことが大事。」
課題:必ずしも人口増へつながっていないのはなぜか?
所得が上がることは田舎に若者が帰ってくるという絶対条件ではない。稼げるだけでは人は帰ってこない。#葉っぱビジネス #株式会社いろどり #龍馬プロジェクト
— サトモトヒロノリ (@Hyakujuoh) 2016, 2月 9
年商2億円越えの事業が生まれた上勝町。社員の方からの説明もありましたが、まだまだ課題もあるとのこと。

たとえばこの図。葉っぱビジネスの売り上げと人口推移を表しているのですが、この事業が人口に多大な影響を与えているかといえばそうでもない。
「所得が上がることは田舎に若者が帰ってくるという絶対条件ではない。」とおっしゃっていたのが印象的でした。やはり雇用や住宅の整備が追いついていないことが原因としてあるらしい。
ぼく個人としても、事業が成功するだけでは不十分で、それが若者にとって魅力的な仕事か、ほんとうにやりたいことなのかに着目することが、人を呼ぶ上では大切だなと。
株式会社いろどりではインターンシップ事業なども盛んに行なっているようなので、これから若者向け、移住者向けの取り組みや、交流人口を増やす取り組みに目が離せないなと思いました。
今回も読んでもらって感謝です。ではでは。
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