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誠実な行動を阻害しうる経済的な要因〜罰金制度の事例〜

 現在NPOをメインに仕事をしていますが、大学院時代は遺伝子関連の研究に携わっていたこともあり、自分の中には「理論」と「実践」どちらも大切にしたいという想いが常にあります。

日々実践の場で頭を悩ませているのですが、そんなときにふと理論に触れると解決の糸口が見えたりするのもとても楽しい。

今回は、寄付集めやそれらを実行していくための組織・コニュニティ作りについて参考になる学術情報に触れる機会を得たのでそちらをご紹介。

Feeling Good about Giving: The Benefits (and Costs) of Self-Interested Charitable Behavior

この論文の概要は「寄付をすれば幸福になり、幸福になると寄付をする。また寄付はあなたのためになるという宣伝は、逆効果になるかもしれない」というものなのですが、

本論文の中で紹介されていた実験が興味深い。

Gneezy and Rustichini (2000a) documented the ironic outcome that emerged when the owners of a childcare center instituted fines for parents who were late to pick up their children.

Lateness actually increased when fines were instituted; while most parents had made a good faith effort to arrive on time when not doing so was rude to the owners of the center, the institution of fines made showing up late an economic matter, with parents simply calculating the costs and benefits of tardiness.

つまり、誠実な行動を取っていたところに、経済的な要因が加わり、遅刻することの利害を考えるようになってしまったことで、逆に遅刻が増えてしまったのだという。

また、このあと罰金制度を廃止しても、元の状態には戻らなかったという。

これ、現場にも活かせそうな話です。特にNPO事務局側が、誠実に関わってくださっているボランティアさんやサポーターさん、プロボノの方に対してどう接するのか、これを考える上でダイレクトに関わってきますね。

特に、関わりが長くなるにつれてNPOの構成員になっていく場合には、経済的な話は避けては通れないですし。

今回は初回の記事でしたが、今後も学術情報と現場を繋ぐ学びの提供をぼちぼちしていきたいと思っています。


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