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声に恋します!シンガーソングライター「佐藤茉莉花」が、音楽の聖地 “福岡天神” の路上に立ち続ける理由。


月みたいな子だなって。

雲ひとつない夜空で、私たちを照らしてくれるもの。

真夏の太陽のように押し付けがましくはなく、周りをキラキラ照らし、

明日もがんばろうっていう活力を、そっとそばに置いてくれる。

そしてまわりの星々とは違い、照らされた後ろ半分には陰をひそませる。

ぼくはそんな月が昔から好きでした。

福岡を拠点に活動するシンガーソングライター「佐藤茉莉花」。

何度も取材の依頼をして、やっと手に入れたこの機を無駄にはしたくなかった。

普段、「歌う」という表現方法だけでは見えづらい彼女の人間性を伝えられたら、これ以上うれしいことはない。月にようにさりげないメッセージを。

Innovator No.23 佐藤茉莉花

シンガーソングライター 2014年 西南学院大学卒業 福岡うまかもん大使

音楽活動のはじまり

里本:音楽活動はいつからはじめられたのでしょうか?

佐藤:大学1年生の頃からですね。バンドを組んでました。まあバンドの方はメンバーがなかなか集まらなかったりいろいろと苦労もありましたが、その頃に初めて人前でライブをしました。

里本:東京の事務所にも所属していたというお話を聞きました。

佐藤:そうですね。福岡で音楽活動をしていたんですが、東京でオーディションを思い切って受けてみたんです。そしたら最終まで残って。

結局、優勝はできなかったんですが、それがきっかけでプロデューサーさんに声をかけてもらい、育成枠のような形で東京での活動が始まりました。

里本:両親はどうおっしゃったんですか?

佐藤:両親からは「大学は卒業してほしい」と言われました。なので、東京に通いながら活動をしてました。それから、大学卒業前に「上京したら?」という声をかけていただきました。

里本:それはビッグチャンスのようにも聞こえますね。

佐藤:はい。けれど、その時はオリジナルの曲もほとんどなくて……。それから東京で活動を続ける中で、なんで音楽をやっているのか、わからなくなってしまったんです。それでこのまま東京でやっていても自分を確立できないと思ったんです。 だからまずは身近な人たちに喜んでもらいながら、ちゃんと自分に向き合った音楽をしたい、自分のアーティスト性を確立させたいって思ったんです。

福岡での活動

里本:福岡での活動が始まってみてどうですか?

佐藤:具体的には2015年の3月から活動がはじまりました。そして8月、今お世話になっているプロデューサーの桑原大輔さんに出会って、そこから活動が本格的になりましたね。

ほんと周りの人に支えられながら、経験をつませていただいてます。

そして活動をはじめて半年でミニアルバム「茉莉花」を出させていただき、ワンマンライブも経験しました。本当にスピーディーにことが進んでいきました。

里本:ワンマンライブを終えてどうでしたか?

佐藤:やっぱり自分の歌を聞いてもらえるのはありがたいですね。そして歌を聞いた方から反応が返ってくるのもうれしい。とにかく言葉を聞いてもらえるのがありがたくて、もっとがんばろうって思います。

里本:正直な話、路上で歌うのって怖くないんですか?

佐藤:路上ライブは本当に怖いです。今はまだいいですが、最初はひとりでできなかったんで、知り合いに見守られながら歌いましたね。

けど、路上で出会って応援してくれる人もいますし、そこでまた反応をもらえるとうれしいですね。今でも本当に勇気がいります。時に批判もありますが、みんなこれで強くなっていくんだなって思ってます。

ビジョン

里本:最初に音楽に触れたのはいつなんでしょうか?

佐藤:きっかけは昔、父が歌を歌っていて、それで自分も歌うのが好きになりました。そんなとき、路上でギターを弾いている人をみて、自分もやってみたいと思いましたね。

里本:なるほど。けれど、歌手の道を進むって正直勇気がいりますよね?

佐藤:そうですね。就職活動の時期はすごく悩みました。でも、両親も後押ししてくれているし、今を一生懸命って感じでいきたいです。

目標としては自分の気持ちに素直な音楽をして、たくさんの人に聞いてもらいたいと思っています。……とは言っておりますが、本当は常に迷いながら進んでいるという感じで、あまりカッコいいことも言えないのが正直なところです。

里本:佐藤さんの声を聴いてまず思ったのが、「キラキラ」。歌詞も前向きなものが多いですよね。

佐藤:そうですね。よくキラキラしていると言われたりするんですけど、私けっこうどん底に落ちるんです。音楽したくないなって病んだりして、闇の部分があるんです。人間、波もあるので無理して笑ってしまうときもあったり。

でも、キラキラしていれば周りに元気が与えられるし、それは素晴らしいことなのかなって。 ただほんと心を開くのが得意ではないです。人前で本音も言えないし。けれど、音楽だとそれが表現できるんです。それを吐き出したいって思うんです。

曲作り

里本:楽曲はどのように制作されているんでしょうか?

佐藤:言葉は常に思い浮かんだらメモしていますね。自分の気持ちとか思ったことを。詞を書く時はそれを使ったり、そこから膨らませたり。曲については、ギターでコード鳴らしながら雰囲気で作ったり、鼻歌からこういうメロディーにしたいなって思ったら、それをきっかけに作りますね。

編集後記

自分の気持ちに忠実な子。質問してもすぐには答えず、一度自分の心に確かめる姿に、惹かれてしまう魅力があった。

おそらく、本音をさらけだすことが苦手な彼女にとって、自分を表現して自由になれる世界が、「音楽」だったのかもしれない。

今はまだ「光」の部分が強い気もする。けれど、これからいろんなものを見て、聞いて、感じとった彼女が見せる月は、きっと子どもから大人までたくさんの人に寄り添うはずだ。

「自分の心に忠実に。」

彼女の歌の中にあるメッセージは、自分自身、そしてこれから一歩を踏み出す人の前を明るく照らしているーー。

〜君はズルイヒト〜

ねえ、ちゃんときかせてよ

ほんとの気持ち

遠回しでも

声に出さなきゃ

届かないよ

Innovator No.23 佐藤茉莉花

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