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新卒社長、尾方里優という生き方。

Innovator No.2 尾方里優

「イノベーター紹介してくれ!!!」 そんなメールを周りの友人知人にまき散らしているわたくし。迷惑してる方もさぞ多し。 しかし、親切にもメールを返してくれる友人たちがいる。

ある日、そのメールを読んでいると驚いた。

日本には現在1億2709万人 (平成26年6月1日現在の概算値) もいるにも関わらず、 別々の友人が「ある共通する人物」の名前を挙げたんです。

「尾方里優(おがたりゆ)。この人すごいよ!!」

しかもこの方、偶然にも以前私のFacebookの投稿に対してコメントしてくれたことがあった。お互い面識がないにも関わらず。

「これ、、、マンガみたいな出会いじゃね!?」

そんな言葉を発すると同時にアポ取りのメールを無我夢中で送ったのだ。

そしてそんな時は決まってうまくいくもの。

アポ取りはスムーズに成功。しかも私と同様カフェ好きらしく、

福岡天神のカフェで取材をすることになった。もうテンションが上がる上がる。

十四時に天神のカフェで

昼過ぎに待ち合わせ。

「道路が混んでて少し遅れます。」

そんなメールがくると、ある意味ジラされ、さらに緊張してしまう自分がいた。

緊張しながらもパソコンに向かっていると、視界に人が颯爽と現れた。

尾方さんだ。

大きな皮のバッグ、天神に似合うオシャレな装い。

そんなわけで、ファーストインプレッションは

「どこにでもいそうな今風の女の子」

そんな印象だった。

しかしこの後、その印象は良い意味で裏切られることになることを私はまだ知る由もなかったのだ。

プロフィール

尾方里優 Riyu Ogata

福岡県福岡市出身、福岡市在住 ビジップ株式会社 社長

九州大学芸術工学部 2014年3月卒業

失礼ながらほんとざっくり説明すると、

大学卒業後すぐ、というかそのまま

「社長」になったわけです。

「社長」=「すごい!」

単純思考で未熟な私はついついそう思ってしまう。とは言っても、やはりすごい!と思う。

里本「社長になるの、正直怖くなかったですか?」

尾方「怖くはありませんでした。どの道が多くの人に影響を与えられるかが大切。あの人の背中をみて「自分も出来る」って思ってほしかったんです。」

里本「尾方さんは一般的にみて、少し違った生き方をされてますよね?」

尾方「え!!??そうなんですか??(驚)」

2つの私の質問にこう答えた尾方さん。

「恐怖心」よりももっと大切にしたいことがある。変に世間体を気にしない。

彼女の考え方、価値観をもっと知りたいと思った。

ビジップ株式会社

彼女が現在、社長を務めている「ビジップ株式会社」。

どんな業務をされているかと言いますと、

人財育成型インターンシップとそれを通じた採用支援事業。

ビジップの理念は「未来を予言する最良の方法は、自ら創造すること」。

次世代を担う人財を育て、未来を切り拓いていく企業とつなぐことで

社会の成長に貢献することを掲げ活動している。

尾方さんは、4月から社長に就任して

インターンシップ事業の展開を行っている。

この活動を支えているのは、学生支援の実績と、

そのノウハウとネットワークである。

というのも、彼女が就任する以前からビジップは、10年以上

学生団体の支援を行い、今まで支援してきた学生の数は5000名を越える。

そこでの強みを活かして、現在インターンシップ事業を展開している。

尾方「このインターンシップを通じた採用の形を確立させて、人財の成長と企業の成長のエコシステムを生み出したい。」

そう尾方さんは語る。

共に働くことを通じて、相性を見る。

それがよりよい採用につながる。

やはり、共に働いてみないと、企業の実態も、人財の能力もわからないものである。

しかし、この「共に働く」ということを実現するのはなかなか難しい。

現在行われているインターンシップは学生に業務を任せられるほどの技術がないため、実際の業務とはかけ離れた仕事を任せられてしまうことが多いのが実情。また企業としても受け入れる負担が大きいという課題がある。

この状態では「共に働くこと」を通じた真のマッチングは生まれない。

ビジップ株式会社はそこに問題点も見いだし、その解決のため、

「学生を育成するプログラムを併せ持った長期的なインターンシッププログラム」

を開発し、そこで育った学生たちが企業で働く仕組みを造ることで、

企業と学生が「共に働くこと」を通じて相性を見ることができる環境を提供している。

インターンシップ以外にも、人財育成の一環として

・営業大学

・プログラミング大学

といった、これからの時代を切り拓く人財がもつべきスキルの習得を目指す講座も展開している。

毎回満員のこの講座。

営業に苦手意識を持っている学生が多いかと思いきや

営業大学は、公開開始1週間でほぼ満席になってしまう人気。

プログラミング大学では

ITリテラシーの向上を図るもの

実際にプログラムを組んで技術を習得するコース

等、理系だけでなく、どんな人財でもITスキルが求められる時代に

なってきたことを踏まえて、

多くの人にIT教育を届けられるように展開している。

また、8月26日(火)にはGoogleの元会長である村上憲郎氏を招いて、これからの時代を切り拓く人財と企業というテーマでイベントを開催する。

これからの展開に期待大。

この他にも、

・人材採用、育成支援

・大学、専門学校の経営支援

・プランニングプロモーション

・地域活性

と業務は多種多様。

詳しくはこちらのHPをご覧ください。

人生の転換期

尾方「インターンシップで人生が変わったんです。付き合う人も変わりました。」

まっすぐな目でそう話してくれた。

里本「尾方さんはよくご自身のブログの中で、「価値」という言葉を使っていますよね?あと、成功したいんだっていうフレーズもよく綴っていますね。」

尾方「そうですね。ただ、成功したいとか、歴史に名を刻みたいというより、自分が生まれてきた意味をよく考えます。というか、生まれてきたことには何かの意味があるとおもってます。そして私は世の中を良くするために生まれてきた、そう思います。」

里本「そんな高い哲学的なレベルで物事を考えてるんですね。すごい、、、。」

尾方「とにかく私は人が育つことに興味があるんです。そして私自身が少し異なる生き方をすることで学生たちの選択肢を増やしたいと思ってます。」

里本「なるほど。もう本気でバリバリ仕事されてる感が伝わります。ところでプライベートはどんな感じなんですか?」

尾方「私、プライベートと仕事の線引きがないんです。例えば、映画鑑賞しながら、どうやったら人の心が動くのかとか、とにかく仕事に結びつけて過ごしてますね。」

彼女自身、大学生時代に長期的なインターンシップを2社経験している。

そこで体験した、体感した「価値」を、今度は自分が提供するんだ、そんな思いが会話の中からヒシヒシと伝わってきた。

原点

里本「とにかく意志が強いんですね。そう思うようになった尾方さんの原点ってありますか??」

尾方「ある先生との出会いが人生に大きな影響を与えてくれました。小学校6年生の時の担任の先生なんですけど、その人は本当に「人にプラスの影響」を与えてくれるんです。そして、本質的なことでなければ頭ごなしに「ダメ」とは言わないし、先生の言葉には噓偽りがないんですよ。生徒ともしっかり向き合ってくれる。」

先生の話になると驚くほど目を輝かせていたのが今でも私の脳裏に浮かぶ。

特にその先生の話で印象的だったものを紹介。

ある日、学校の廊下に給食袋が落ちていた。

Aさんは気づいて拾った。

Bさんは気づいても拾わなかった。

Cさんは気づかなかった。

みなさんは誰が一番悪いと思いますか??

尾方さんの恩師はこう答えたそうです。

「一番悪いのは、気づかなかったCさん。」

読者のみなさん、ちょっと意外な答えに驚きませんでしたか?

その先生いわく、

「周りに関心を持つことが大切。だから気づかなかった人が一番悪い」

のだそうです。

そんな思慮深い当時の尾方さんの担任の先生は、この他にも印象的な言葉を尾方さんら生徒に対して残しています。

「君たちとあえて自分は幸せ者だった。」

「君たちの止まり木にいつでもなる。」

そんな深い優しさある言葉が尾方さんに影響を与えたのでしょう。今でも時々、その先生に会いに行っているらしいのです。

九州大学を志して入学したのも、その先生が叶えられなかった目標を自分が叶えるためだったとのこと。

そして時は少し流れて中学時代。

尾方「私内気でヘタクソだったのに、バスケットボール部のキャプテンに指名されたんです。キャプテンをうまく務められなかった私に監督がこう言ったんです。」

「お前の優しさは優しさじゃない。」

本当にチームのためを思うなら、言うべきことは言わねばならない。そして「立場」というものが人を育てる。行動を変えれば見える世界も変わって、できないことなんてない、、、そう部活動のキャプテンという役目を通して感じたそうです。

「変わるのが楽しい。苦しいのは成長痛なんだ。」

尾方さんが言った印象的な言葉です。

ビジョン

里本「ビジップの今後を教えてください。」

尾方「インターンシップ採用が普通になる未来を創っていきたいです。」

里本「ターゲットは?」

尾方「主なターゲットは大学生。全国の。」

里本「どうやってインターンシップを全国に広めていくんですか?」

尾方「今、もうひとつ私が働いているナレッジネットワークには全国展開している支部があるんです。これをうまく利用して全国に広めていけたらなと思ってます。そしてやはりポイントは大学とどう連携していくかなんですけど、国の方針というのもあるので、すこし難しい面もありますね。」

里本「売上げに関してはどうですか?尾方さんはあまりお金がほしい!!って感じではないと思いますが、、、?」

尾方「利益は出さないといけません。利益が出るところ、お金が集まるところに価値はあると思うので。」

里本「なるほど。売上げが価値のバロメーターになってるのですね。」

尾方「そうですね。そして私たちは「形の無いもの」を売っているので、それを理解していただくために努力しないといけないです。ある意味、一度良い循環ができればいいなと思ってます。」

里本「確かにそうですね。」

尾方「とにかく、これから大切なのは「アイデア」、そして「付加価値」 です。」

編集後記

取材を終えて私は深く後悔した。

「こんな生き方あったのか、、、。」

尾方さんが羨ましかったのである。

それはなにも「社長」というポジションが羨ましいのではない。

長期的なインターンシップというものがあって、様々な就職先を知り、その上で自分の道を決めた、、、というその選択肢の多さに嫉妬しているのである。

私自身のことを言えば、大学時代、研究室というものに配属されていた。

そこはもはや「研究者選抜所」となっていたのだ。

地道にコツコツものごとに取り組めるものは研究者になれ。

そうではなく、話し上手、冗談を言うのが巧ければ営業マンになれ。

それ以外は一般的に安定している公務員になれ。

そんな風潮にずっとずっと違和感を覚えていたのである。

だからそこ、尾方さんに嫉妬した。しかしそんな感情を抱いていては駄目だ。尾方さんは自ら勇気をだし、チカラを出し、自らの選択肢を広げ、道を決めたのだから。

社会人になって率直に思うのは、

「働いてる人ってマジすごい!ってこと。」

学生には申し訳ないが、レベルが違う。能力が高すぎるのだ。

だってそれで給料もらって生活していくプロなのだからそこは仕方ない。

何が言いたいかというと、

「働く」という数十年にも及ぶ長い「時間」の自己投資は、私たちがおもっているよりも遥かに自分を成長させてくれる。

大学時代の友人が言っていた好きな言葉なのだが、

「人は1年でできることを過大評価し、10年でできることを過小評価している。」 という言葉がある。

だから学生時代、自分はこれが苦手だから、本当は好きだけど、その道に行きたいけど、やめておこう、、、なんて考えは捨ててほしいということだ。

本気で働いて、長い時間自分を磨けば、なりたい自分に絶対なれる。夢や理想を諦めないでほしい。だって、人生一回しかないよ!?

最近、社会人の先輩方をみて思うことはこれだ。

若者には無数の選択肢があるんだ。

だから、その選択肢を広げようと尽力している尾方さんの仕事にはすごく共感したのだ。

今回の取材を受け、さらに自分の中のそういった思いが強くなった。

そしてこのブログを続けるにあたって大切な気付きも得ることができた。

それは「イノベーターは別に凄いわけではないんだよ!?」

ということ。

ここでいう「イノベーター」とは一般的なところから少し離れた、変わった生き方をしている人だと定義する。

勘違いしないでほしいのは、「イノベーターが凄くないわけでもない」ということ。

要するに、「イノベーター」と言われる人も、「そうではない」と言われる人も、

凄くないし、凄くないわけでもなく、自分がどうありたいか素直に選択し、その自分の立ち位置、スタンスをあるがまま受け止めてほしいということ。

イノベーターになりたくないならならなくてよい。なりたければなればいい。

僕はただ、一般的に選択肢としてみとめられていない「変わった生き方をしているイノベーター」と言われる人々にもスポットライトを当て、彼らの生き方を「ひとつの平等な選択肢」として認識してほしいんです。

そして道を選んだら、自分の世界を広げ、深める。ただそれだけでいいんだと思うんです。人と比べてもなにもいいことはない。

究極的には、

「わたしはこうですけど、なにか?」

っていう「おぎやはぎ」的思考に達したとき、

案外人生はうまく行くような気がしてならないのです。

尾方里優

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