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あのCMの裏話も!「モテる会社が強いんです」株式会社マインドガスの山田洋介社長は運と縁で生きてきた。

 「火」。私たち人間が生きていく上で必要不可欠な存在であることは誰もが知っている。歴史的にみても、古代から「火」が文明を発達させてきたと言っても過言ではない。この火力の主要リソースとなるのが、もちろん「ガス」である。

2011年3月の東日本大震災を機に、ガスを含めエネルギー業界は大きな転機を迎えた。全国で原子力発電が停止していく中、国内の火力発電の割合は増加。その際に必要となるガス供給の増加もあり、平成26年時点で過去5年間の伸び率が+4.8%と好調に推移している。 ※ガス業界のランキング・動向・現状などを研究-業界動向サーチ

そんな中、政府が推し進めてきた改正電気事業法の可決により、平成28年以降、電力やガスの小売り全面自由化がはじまる。全国にLPガス業界約2万社、都市ガス業界約200社が乱立する中で、価格競争が熾烈を極めるのは必死だ。

あの話題のコマーシャル!正体はこの人

しかし、高知県高知市神田にひっそりとオフィスを構える「株式会社マインドガス」が今、中小企業ならではのフットワークの軽さと物腰の柔らかさを活かし、一風変わった戦略を進めている。まずはこちらをご覧いただきたい。

「走れ!LPマン篇 高知県LPガス協会」


高知県LPガス協会のコマーシャルである。高知県民は一度は目にした事があるかもしれない。そしてなにを隠そうこの「LPマン」の着ぐるみを来て、「真顔」で躍動する人こそ、今回ご紹介する「株式会社マインドガス」代表取締役、山田洋介社長である。

株式会社マインドガス 高知県高知市神田2141-24 代表取締役社長(3代目):山田洋介 従業員:10名 事業内容:LPガスの販売・検針・集金、各種ガス器具の販売、ガス工事、保安点検など 昭和29年、高知市升形で「日本プロパン瓦斯」として創業。その後、昭和63年に現社名に変更し、高知市神田へ移転。 社名の由来:「こころを尽くしたサービスの向上に努め、お客様に信頼される会社を築いていきたい」という願い。

子どもたちに将来、ガスを選んでもらえないのではないか…

「もともとあった高知県LPガス協会のCMを見た時、正直面白くないと思ったんです。これでLPガスのことを知ってもらえるわけがないと。だったら一気に変えよう!そう提案したんです。」

約280社のガス会社で構成される高知県LPガス協会。過去に制作していたCMはいわゆる「まじめ」なタイプ。これでは認知度を広めるのは困難なことに気づいた山田社長は、協会に自ら提案。「ほな、お前がやってみろ!」その言葉を皮切りにまずはCM改革に乗り出した。

自らそして同世代の協会委員と考えた案をプレゼンし、プロダクションとも折り合いをつけながら制作。そしてこのCMがガス業界に新たな風を起こした。

「このCM発信がウケたんです。イベントで「火育活動」(=子どもたちが「火に親しみ、火を学ぶ」体験を通じて、豊かな心を育み、生きる力を高める活動)をしていると、あの着ぐるみをきた私をみて、「あ!見たことある!」って子どもたちに言ってもらえるようになったんです。」

こういったユニークな取り組みに乗り出したのにはきっかけがあった。

山田社長が子どもの授業参観で学校へ行ったときの話だ。家庭科の授業でお湯を沸かす際、先生が児童たちに質問をした。「家でガス使ってるかな?」… この言葉に反応したのは、なんと自分の子どもだけ。30人中1人だけがガスを使っていたのだ。「この子たちが大人になる20年後、ガスを選んでもらえないのではないか。」その危機感が山田社長を動かした。

そうして制作したCMが功を奏した。子どもたちから覚えられたことで、多くの人がガスに関心を寄せた。知ってもらって初めて「災害時の有効性」も伝えることができたという。また全国的にも知名度が上がり、講演や業界誌への掲載も進んだ。

余談ではあるが、あのCMの着ぐるみは当初、別の人が着る予定だった。しかしその人が直前でまさかの骨折。急遽、社長自ら出演することになった経緯はなんらかの運や縁を感じる。

ガス会社の情報誌。「結局はお客さんと何回会えるか、それを大事にしたいんです」

そんなマインドガスの取り組みは注目度を増している。たとえばこの生活情報誌は8年前から行っているという。

高齢者の顧客が多いためそこにフォーカスし、毎月このニュースレターを各家庭に配布。内容は健康、料理にとどまらず社長の日記や子どもの話、さらにはマイナンバー制度やおすすめの書籍など多岐に渡っている。

またマインドガスでは水素入浴剤や鰹だしも取り扱っている。

「結局はお客さんと何回会えるか、それを大事にしたいんですよね。」

単にガス供給だけでなく、料理、入浴などに関わる商材の提供が最終的にガスに結びつく。こういったある種のストーリーを大切にするマインドガスの社風は地域に根ざしている気がする。ちなみ取材中に頂いた鰹だしでつくった「しょうがごはん」は美味であった。

犬猿の仲を破る!前代未聞の行動が業界を変えた

山田社長の革新性はガス業界にも影響を与えた。火育活動の当初、「大手の都市ガス会社」に教えを請いにいったのである。実はこれ、業界ではタブーな行為。当時犬猿の仲だったLPガスと都市ガスの関係性を考えれば前代未聞だったらしい。

その壁を破り、教えを請うことをやめなかった社長のもとに批判があったのは想像に難くない。

しかし努力は実り、ついに「火育マイスター」の資格を取得。現在は全国で数百人は資格保持者がいるが、会員番号1番は山田社長である。さらに今では「ガスコラボ四国」が発足し、高知県のLPガス業界と都市ガスの関係性は改善に向かっているようだ。

「これは運だけで生きてきた手相ですね!」当時は会長の息子という重圧もあった

そんな山田社長のこれまでの歩みはどうだったのだろうか。

「大学は北九州の学校に行きました。もともと先生になりたかったんだけど、すぐに挫折してしまって…。そこで求人の多かったLPガス業界に入りました。」

祖父から続くガス会社を実家に持ちながら、特にその業界へ執着はしていなかった当時の山田社長。LPガス業界に入ったのも偶然だった。そして九州のガス会社に入ってからは、そこに骨を埋めるつもりだったという。仕事は休みなく、そして夜遅くまで働く毎日だった。その頃を振り返ると「当時、会社にはすごく良くしてもらえてた。それがあったからこそ今がある」と、山田社長は言う。

九州で働き始めて1、2年が経過した頃、親から「帰ってきてくれ」との連絡があった。しかし「自分の力でやりたい、ボンボンと言われたくない」という独立精神が強かった当時、この要望を一度は断った。しかし数年後、様々な事情が重なり高知へ帰ることとなった。

帰省した当初、父親はLPガス協会の会長。その息子として周囲から見られる日々。当時は重圧があったという。また様々な会合への顔出しや、イベントへの参加、そして激しい飲み会。「はじめは嫌でした。けど、その時に名前も覚えていただいて、かわいがってもらったからこそ今があると思います。」と振り返る。

「ある日、飲み屋に手相をみれる人がいて見てもらったんです。そしたら『すごい!これは運だけで生きてきた手相ですね!』と言われました(笑)」

会長の息子という宿命。辛いこともあったし、決して順風満帆ではなかった。しかし、そんな重圧を逆に利用しようと思うようになった山田社長の変化は、会社にも変革をもたらしたのは言うまでもない。

社長が目指す魅力的な会社とは?

「ただただモテたいですね(笑)。モテる会社がこれからは強いと思うので。」

社長が目指す魅力的な会社、それを「モテる」という言葉で表現していた。社員の採用については既に実力のある人を誘うことが多いのだという。その際、価格提示はあまりしない。もしかしたら給料は下がるかもしれないが、ここで働きたいという想いを重視する採用方針をとっている。

こんな不躾な質問もしてみた。「社長は学生時代モテたんですか?」

学生時代はモテましたね(笑)。たぶん。おそらく高校生のときがピークだったと思いますよ。バスケットボールやってましたし。」

ちなみに山田社長の恋愛テクニックは「すかし」だそうで、相手のことが本当は好きだけど、ガツガツいかず、気がないふりをするらしい。

ここで高知県LPガス協会CM(別バージョン)をご覧ください。


決して編集に悪意があるわけではない。山田社長のカッコ良さが凝縮した作品だ。

社員の方からみて、社長はどういう風に映るのだろうか?

「…素晴らしい方です。」

一瞬間を置いてそう答えてくださった社員の長田さん。その一言に深い意味が込もっているように感じたのは私だけだっただろうか。また取材中、別の社員さんが「社長に延長コードの置き場所を尋ねにきた」ことは私の中で新鮮だった。少しばかり社員と社長の距離感を垣間みた瞬間だった。

一流と付き合うのは苦手。志が同じ人と一緒に

「やっぱり人ですね。ぼくは本当にご縁に恵まれています。」

人を大切にする山田社長の言葉は実態を伴っており、取材側の私たちにも気さくにいろんな話をしてくださった。

この10年で顧客件数は1000件ほど減少。しかし努力が実り、経営も黒字で推移しているとのことだ。エネルギー業界の熾烈な競争を前に、成長する中小企業は注目度を増している。

「背伸びはしたくないんですよ。だから一流の人と付き合うのは案外苦手で、目指すところが同じ人と付き合って行きたいですね。なんかカッコいいこといってますけど(笑)。」

トップランナーは出来上がってしまっていて面白くない。未完成だけど同じ方向を向いている人と一緒にやっていきたいという社長だからこそ、異業種とのコラボも生まれ、斬新な発想が生まれるのかもしれない。

今年11月22日(日)、マインドガスの会社敷地内で毎年恒例の「お客様感謝祭」が開催される。「一番最初に何かやる」、「普通のことは採用しない」という先進的な社風をもつマインドガスの目玉企画だ。お客様の笑顔が目に浮かぶ。

Innovator No.28 山田洋介 株式会社マインドガス 代表取締役社長 高知県高知市神田2141-24 088-831-1616

追記:2016年7月より、マインドガス株式会社のブログ「GAS PRESS」がオープンしました!こちらもぜひどうぞ!

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